04/01/2026
《純米大吟醸 生酛(きもと)木桶仕込 蔵付酵母》発売開始について
この度、「蔵付酵母」によって醸された純米大吟醸を発売開始致しました。
【酵母無添加だからといって蔵付酵母や天然酵母ではない】
竹鶴酒造は平成16(2004)酒造年度に江戸時代に成立した生酛造りという酵母育成法を復活させ、その頃から酵母を添加せずに行っておりますが、増える酵母の種類は実際のところ天然酵母といった類ではなく、全国ほとんどの酒蔵で使用されている「きょうかい酵母」という(公財)日本醸造協会が頒布している酵母が酒蔵に定着したものでした。酵母は強い生き物ではありませんので自然界に元々そんなにおりませんし、ましてや日本酒製造に向いた性質を備えたものは稀です。きょうかい酵母のような酵母しか増えることができないのです。
【時折きょうかい酵母とは様子が違うときが】
しかしながら時折きょうかい酵母とは違った香味や発酵経過を示すものがあって不思議に思っておりました。この度発売開始致します令和4(2022)酒造年度のこのお酒でも現れましたので改めて調べた結果、きょうかい酵母とは違う種類である事が判明しました。この酵母を竹鶴酒造では「蔵付酵母」と呼ぶ事にします。きょうかい酵母が酒蔵に定着したものを「蔵付酵母」と呼ぶ事もありますが、この酵母は遺伝子レベルから異なっており全くの別種です。
【「蔵付酵母」の長所】
「蔵付酵母」はきょうかい酵母と比べ、以下の長所を備えています。
1.生酛造りに適している
生酛造りの工程の最後に「温み取り(ぬくみとり)」という加熱する作業があり、きょうかい酵母は熱に弱いため多くはここで死滅してしまいます。「蔵付酵母」は熱に強いため、温み取りでも死滅しません。
2.木桶仕込に適している
木材は保温性が高いため木桶で仕込む(発酵させる)と金属製タンクと比べ発酵温度が3~5℃高くなります。熱に弱いきょうかい酵母にとって過酷な環境となりますが、「蔵付酵母」は熱に強いため死滅しません。木桶は金属製タンクと異なり表面に乳酸菌等が生息し、これらが「熟成して」「お燗して」おいしい成分を作ります。熱に弱いきょうかい酵母のため人工的に冷却すると、これらの乳酸菌等の活動が弱まり「木桶らしさ」が失われてしまいます。「蔵付酵母」は冷却する必要がありませんので、木桶の特徴を引き出す事ができます。
3.雑味・劣化臭が少ない
きょうかい酵母は自らが作ったアルコールに弱いという醸造用酵母としては奇妙な性質もあります。「蔵付酵母」はアルコールに対して強く、前述の様に熱にも強いので死滅しにくく、従って酵母が死滅した際に生じる雑味が少なくなり、また酵母の死滅と相関関係がある劣化臭も少なくなります。
4.環境負荷が少ない
「蔵付酵母」は熱に強いため人工的に冷却する必要性が低く、環境負荷の少ない「自然な酒造り」に適していると言えます。
【「蔵付酵母」のお酒の味わい】
「蔵付酵母」は協会酵母にない個性的な香味も有します。
《酸味の絡むシャープで“クリア”な凛とした熟成味》
(常温)クリアで濃い山吹色。黒糖、シナモン、ドライ柑橘類の皮などを思わせる熟成香。口に入れた瞬間軽さを覚えるが、直ぐに酸味がはっきり主張するシャープでクリアな熟成味が貫く。その後、じわっとアルコールの高さが伝わる。ラストは、適度な渋みが切れの良さを演出する。
(お燗)40度、クリアな熟成味と酸味が融合する。後から酸の辛さと渋み、アルコール感が追いかける。50度、酸が少し丸くなり、酸味の融合する熟成味が優しくなる。後半は、渋みがエッジをつくる。60度、シャープでクリアな酸味の融合する熟成味は、渋みを内包しつつも大きくふくらむ。
「蔵付酵母」ゆえ熱やアルコールで死滅しにくい事が雑味の少ない「凛とした」味わいに繋がっております。
【「蔵付酵母」の今後】
竹鶴酒造はこれからこの「蔵付酵母」の活用を広めていく予定です。醪を人工的に冷却するには電気が必要で、そのため二酸化炭素や放射能の排出につながります。酒造りも環境負荷低減が求められるこれからの時代に、冷却する必要性の低い「蔵付酵母」は大きな可能性を秘めています。まずはその嚆矢である、このお酒を是非お試し下さい。
【商品名】小笹屋(おざさや)竹鶴 純米大吟醸原酒 生酛木桶仕込 蔵付酵母
【価格】1800ml 13,200円/ 720ml 5,500円(価格はいずれも消費税込)
ところで、この「蔵付酵母」はどこにいたのでしょうか。酒蔵にいるのなら、どうしていつも現れないのでしょうか。この点はまた改めてお話しします。
※飲酒は20歳になってから